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卑怯道奥義大全

過去の話はしたくない!

ついに来てしまった。
忌まわしの過去が。

ここに至るまでにも、挫折しそうにならなかったわけではない。
例えば、名詞と形容詞の性別。
例えば、動詞の語尾変化。
日本人にとっては初めての概念であり、必死の思いで、これらの山を越えて来たのだ。

しかし、過去に比べたら、これまでの山など丘も同然。
過去の壁に阻まれて、スペイン語学習から撤退した日本人は、その数、820万を越えると
言われている。
「過去のばかやろう!」
そんな悲痛な叫びを残し、一人、また一人と、若者は崖から身を投げるのだ。

がははは!
なかなかカッコいいオープニングじゃないですか!
何が820万なんだよ、おい!

しかしね、過去は本当に嫌だよ。
面倒臭い上に、参考書で勉強しても、よく分かんないんだもん。
卑怯道では、得意の絞り込みで何とか対応するけど、まともにやると本当にキツイ。
できることなら無視しちゃいたいとこだが、過去って、現在の次によく使うんだよね。

スペイン語の過去が難しい最大の原因は、過去時制が2種類あるってこと。
◆ preterito indefinido
点過去。瞬時過去、不定過去とも言う。完結的な過去。「〜した」
◆ preterito imperfecto
線過去。継続過去、不完了過去とも言う。非完結的な過去。「〜していた」

どーだ!
全然、分かんないっしょ?
正直言うと、私も未だによく分からん。
点過去と線過去自体は理解できるけど、点過去の進行形とかになるとお手上げや。

ま、そうは言っても、普通の会話は点過去ですよ。
「昨日ディスコに行った」とか、「先週この町に着いた」とか、ほとんどは点過去で済む。
それに、普通は線過去を使う場合でも、同じ内容を点過去で表現することも可能。
線過去じゃないと話が通じないのは、特殊なケースに限られますな。

てなわけで、卑怯道としては、過去を次の4ステップに分けて学びたい。
第1ステップ: 現在形+過去を示す単語
第2ステップ: 現在完了
第3ステップ: 点過去
第4ステップ: 線過去のbe動詞対応と過去進行形


この4ステップのうち、どこまでマスターするかは、各自の判断に任せます。
短期の旅行などで、とりあえず意味だけ通じればいいや、という人は第1ステップのみ。
そうは言っても、一応ちゃんとしたスペイン語を話したいなあ、という人は第2ステップまで。
実は語尾変化を覚えるのが大好きで、という奇特な人は第3ステップへ。
お前のスペイン語は完璧だ、と言われたい人は第4ステップまで。
てな感じかな。さて、それじゃ、順を追って行ってみますかね。


第1ステップ: 現在形+過去を示す単語
これは特に説明不要でしょう。
未来でもやった通り、I buy a computer yesterday. ですよ。

だがここで衝撃の告白!
実は、この方法は、卑怯道の王道ではないのだ!
それはなぜか?

I bought a computer yesterday. で考えてみましょう。
ちなみに、点過去を使った正式な文章は、Compre una computadora ayer. ですな。
冠詞は使わないとして、「現在形+過去を示す単語(ayer: 昨日)」はこうなります。
Compro computadora ayer.
buy = comprarなんだけど、このcomprarが一人称単数のcomproになるってこと。

だけど、こんな動詞初耳でしょ?
そーなんですよ。comprarは最重要指定6動詞に含まれていないのであります。

卑怯道は以前、こんな約束をしました。
「最重要指定6動詞以外の動詞は、語尾変化を覚える必要はない。不定形のみでOK」
つまり、comprarは覚えなきゃいけないんだけど、comproは覚える必要ないはずなのよ。
もちろん、卑怯道は約束を破りません!(間違えてて謝ることはあるぞ)
これに対する答えは二つ。

一つは、最初の頃に伝授した「主語を付けて動詞の語尾変化を無視する」作戦。
Yo comprar computadora ayer.
これはさすがに問題ないでしょう。
ま、ある意味ではこの「主語付き語尾変化なし」が最強の卑怯道なのかもしれん。

そしてもう一つの答えが、次の第2ステップで取り上げる「現在完了」なのであります。


第2ステップ: 現在完了
最小限の努力で、正しいスペイン語を使うという意味では、この現在完了が、過去表現に
おける卑怯道の王道ですな。

いきなり結論から言おう!
「haber + 過去分詞」
わずかこれだけのことじゃよ。

え? 過去分詞が分からん?
ま、そりゃそーだわな。ちょろっと説明しとこう。問題ないよ、簡単だから。
すべての動詞は、アール・エール・イールの3つに分類できるって話があったでしょ?
その三兄弟は、長男のアールが孤立してて、エールとイールの二人は仲良しなわけね。

で、過去分詞なんだけど、アール動詞は「-ado」になり、エール動詞・イール動詞は「-ido」に
なるんですわ。

アール動詞: comprado (comprar)、hablado (hablar)、pensado (pensar)
エール動詞: comido (comer)、vendido (vender)、leido (leer)
イール動詞: salido (salir)、venido (venir)、ido (ir)

じゃ、I bought a computer yesterday. を現在完了で言ってみんべ。
He comprado computadora ayer.
パッと見ると、Heを「ヒー」って読みたくなるだろうけど、スペイン語だからね。「エ」だよ。
haberは最重要指定6動詞のひとつなので、語尾変化は覚えてちょーだいね。
一人称単複が、heとhemos、三人称単複が、haとhanですな。

現在完了のいい点は、結構たくさんある。
まず、過去の話だということが、確実に相手に伝わること。
過去を示す単語(昨日、先週、去年など)がなくても、完全に過去だって分かるわな。

それから、文法的には間違っていないということ。
点過去で言うべきものを現在完了で言うことの違和感は、ないわけじゃない。
ただし、その違和感は、日本人が思ってるよりずっと少ない。

ここでもうひとつ、さらに卑怯な手をお教えしましょう。
それは「haber抜き現在完了」だ!
これは楽だよ。「-ado」と「-ido」にするだけだから。
しかも、相手にはちゃんと言ってるように聞こえるんだよね。
どーしてかって言うと、haberが活用すると、すごく目立たない音になるから。
「エ」とか、「ア」とか「アン」とかね。

He comprado computadora ayer.は、「エ・コンプラード・コンプータドーラ・アジェール」
って発音するんだけど、ここから「エ」が抜けたって相手は気付かんよ。
一つの文章においてどの単語を強く発音するか、って問題が、英検なんかに出るよね。
助動詞のhaberなんて、絶対一番弱く発音するわけですよ。
そんなもんは、付けても付けなくても同じようなもんじゃい!

てな感じで、現在完了は理解してもらえましたか?
へへへ、ほいじゃ、最後に嫌なことをひとつだけ言っておこう。
過去分詞には、不規則変化のものがあります。
つまり、「-ado」と「-ido」だけじゃないってこと。

あ、なんだよ、泣いてるの?
まあね、泣き言を言っても不規則変化がなくなるわけじゃないんで、あきらめてくんなまし。
とりあえず、3つだけ覚えてもらおうかな。
・ hacer (=make, do): hecho
・ decir (=say, tell): dicho
・ ver (=see): visto
この3つを押さえておけば、何とかなるんじゃないかね。

そんなわけで、第2ステップまでで、過去の話は一旦終わろう。
第3、第4ステップは、もうちょっと後でやることにすんべ。(←やんなかったりして)

「過去の話はしたくない!」の結論:
第1ステップ: 主語を付けて、動詞は活用させず、過去を示す単語を付ける。
第2ステップ: 現在完了「haber + 過去分詞(-ado/-ido)」で戦う。
いざとなったらhaberも捨てちゃう。不規則過去分詞は3つだけ嫌々覚える。


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