「よっしゃ、語尾変化は無視したる!」と、強く心に誓った人は、今回飛ばしていいです。
いずれ助動詞の語尾変化だけは覚えてもらうけど、それまではコーヒーでも飲んで
くつろいでて下さい。
ほいじゃ本日の本題、アール・エール・イール三兄弟の話でございます。
次男のエールと三男のイールはとっても仲がいいんだけど、長男のアールは歳が離れてる
せいか、弟たちとは距離を置いてます。エールとイールは、ちょっと目を離すと、すぐに
つるんで一緒になっちゃうんだけど、アールはそれを遠くから冷静に眺めているのです。
そんな兄弟関係を理解した上で、語尾変化の秘密に迫ってみましょー!
スペイン語の動詞は、語尾の形状によって、例外なく3タイプに分類できる。
この語尾の3種類が変化するわけです。
1. -ar動詞: arで終わる動詞。hablar, pagar, pensar, sacar
2. -er動詞: erで終わる動詞。comer, tener, querer, haber, poder, hacer
3. -ir動詞: irで終わる動詞。vivir, decir, oir, venir, salir, dormir, pedir, ir
ま、一目瞭然ですな。
あ、ちなみに私が例として取り上げる単語は、どれも最重要単語だよ。
最低限の会話を成立させるために、どうしても必要な単語を厳選してるので、全部覚えてね!
さて、ここで私は皆さんに嘘をついていたことを告白せねばなりませぬ。
前回の語尾変化の種類で、一人称・二人称・三人称に単数と複数があるから6種類、
そのうち二人称は使わないから4種類、と言いましたね。
それがねー、その4種類は、この動詞の語尾タイプによって違うのよ。
ar動詞とer動詞は、語尾変化の仕方が違うんですわ。つまり、4種類だけじゃダメなの。
「ぎゃー、てことは、4種類x3タイプで、12種類も覚えなあかんのかー!」
ふっふっふ、ご安心下さい。またまた朗報です。
実は、er動詞とir動詞の語尾変化は、ほとんど同じなのであります。
下の方にある色分けした表を見れば分かると思うけど、一人称複数が違うだけなんですね。
色を数えてもらえれば分かると思うけど、わずか8種類なのじゃ!
ありゃ、腰抜けてますか?
うーん、それでもダメージ大きいですかね?
ま、目が回るようだったら、 「語尾変化無視作戦」に変更しちゃってもいいけどね。
でもね、慣れちゃうとそれほど難しくはないと思いまっせ。
感覚的な表現だけど、arの反対がer (ir)なんですよ。
スペイン語では、この「相反する二つの概念」が頻繁に出てきます。
名詞と形容詞の男性・女性は「-o」と「-a」でしょ。
動詞の語尾変化は「-ar」と「-er (ir)」ですね。
そのうちやるけど、過去分詞は「-ado」と「-ido」のペア。
今の段階で言っても仕方ないかもしれないけど、こういった「正反対ペア」の概念が
色々な部分に影響を与えるのであります。命令文とか、接続法とかね。
ま、いっか。
あんまり難しい話をしても疲れるので、具体的に語尾変化を見てみますか。
二人称は無視するんだけど、一応書くだけは書いときます。
hablar(話す) | 単数 | 複数 |
---|---|---|
一人称 | hablo | hablamos |
二人称 | hablas | hablais |
三人称(二人称他人行儀を含む) | habla | hablan |
comer(食べる) | 単数 | 複数 |
---|---|---|
一人称 | como | comemos |
二人称 | comes | comeis |
三人称(二人称他人行儀を含む) | come | comen |
vivir(生きる) | 単数 | 複数 |
---|---|---|
一人称 | vivo | vivimos |
二人称 | vives | vivis |
三人称(二人称他人行儀を含む) | vive | viven |
しかし惜しいのは、一人称複数だね。
er動詞とir動詞の違いはここだけだからなあ・・・
三人称はけっこー単純じゃないすか。「a系」と「e系」だけだし、複数は「n」付けるだけだし。
一人称単数なんて、もっと簡単だよね。全部「o」なんだから。
そこで、卑怯道登場!
一人称複数を使わなきゃいいんでしょ、要するに。
よっしゃ、それじゃ、一人称複数を三人称に転換する方法をお教えしましょう!
一人称複数っちゅーのはweですわな。
これはねー、意味を考えるとほとんどの場合、一人称単数や三人称に変えられる。
ま、少しばかり頭は使うけどね。
weの意味を具体的に考えてみればいいんです。
「我々日本人」の意味だったら、japonesesで三人称複数。
「私たちの会社」だったら、nuestra empresaで三人称単数。
「私のグループ」であれば、mi grupoで三人称単数。
一人称単数にするのもわりと簡単ですぜ。
例えば、友人と二人で旅行してる時に、バスのチケットを買わなければいけないとする。
普通に考えれば、weで話をするわけですよ。
(Nosotros) Queremos ir a Santiago. Cuantos son billetes?
だけどね、私が彼と一緒に行くことにすれば、一人称単数になるんですな。
いくつか言い方が考えられるけど、2パターン挙げてみましょう。
(Yo) Quiero ir a Santiago con mi amigo. Cuantos son billetes?
(Yo) Quiero ir a Santiago. El tambien. Cuantos son billetes?
同じ内容をさらに別の表現にしてみましょうか?
(Yo) Necesito dos billetes para Santiago.
(Yo) Quiero comprar dos billetes para Santiago.
ほっほっほっほ!
このように、ちょっとした想像力があれば、どうとでも変えられるわけです。
「自分が知ってる範囲で表現する!」 これもまた、卑怯道の基本理念なのじゃ!
一人称単数・三人称単数・三人称複数の3つを使えれば、ほとんど何でも表現できると
いうことが分かってもらえただろうか?
「アール・エール・イール三兄弟」の結論:
動詞は語尾で3つに分類できる。-ar動詞と、-er動詞、-ir動詞。
最低限、一人称単数と三人称単数、複数の語尾変化は覚えよう!
表現方法の工夫で、自分の得意なフィールドでの勝負に持ち込むべし。